遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、遺産をどのように分ける(分割)か話し合って(協議)、合意した内容をまとめた書類です。相続人全員が参加して遺産の分割について話し合い、その方法と相続の割合を決めていきます。
遺産分割協議により相続人全員が合意に至ったら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には次のようなポイントがあります。
- 不動産等の財産は、登記簿謄本等を確認し所在を正確に記載します。
- 遺産分割協議書は、相続人の人数分を作成します。
- 相続人の住所は、住民票のとおりに書きます。
- 捺印は必ず実印で行い、印鑑証明書を添付します。
- 遺産分割協議書が複数枚になれば、必ず契印をします。
遺産分割協議書が必要になるのは?
相続人の方がそれぞれ法定相続分のとおりに相続する場合や、遺言書の内容に従って相続する場合には、改めて遺産分割協議書を作成する必要はありません。
遺産分割協議書の作成が必要になるのは、主に次のような場合です。
遺言書がなく法定相続分とは異なる遺産分割を行う場合
遺言書に記載がない財産が発覚した場合
遺産分割協議書は、相続登記をはじめとして金融機関での相続手続き等で使用することとなります。
遺言書の作成
遺言書はなぜ書いたほうが良いのか?
日本人の平均寿命はこの30年間で男女ともに5歳以上も伸び、女性の場合には間もなく90歳にも届こうとしています。
医療の進歩と健康志向の広まりでこれからも寿命は延びるでしょう。
一方で遺産を巡って家族や親族の間での相続争いが起きている、という話も良く聞かれます。
誰しも高齢になれば、いつ病気になるか分かりません。
ご主人が亡くなり、認知症の配偶者が残される場合もあります。そのような時、家族や親族に面倒を見てもらう必要があるのですが、今や漫画の「サザエさん」のような家族のきずなは期待できません。それどころか、相続争いで家族や親族が反目し、認知症の配偶者が放置されることさえ起こり得ます。
遺言書は、そのような予期しない事態を避ける最良の方法です。
まず。家族に『財産は自分たちのために使うよ。』と宣言しておくのです。その上で、自分たちの死後、残る財産は家族に相続させるが、相続の方法や割合は遺言書に書いておく、と伝えておくのです。遺言の内容は詳しくは説明しないことです。そうすれば相続人となるご家族は、一抹の不安と大きな期待を持つでしょう。そしてあなたを大事にしてくれるでしょう。
「自分はまだ元気だから遺言書などまだ早い。」、 「遺言書を書くなんて縁起でもない。」などと考えないことです。遺言書は、相続人のためにあるのではなく、遺言する方ご本人が、『認知症などになったときに、家族などに面倒を見てもらうためにある』と考えられてはいかがでしょう。
因みに、2020年に「配偶者居住権」という制度が始まりました。
自宅の持ち主であるご主人が亡くなった場合のことを例にとりましょう。
長男が自宅を相続した場合、そこに住んでいた配偶者が長男と折り合いが悪かった場合などには自宅を追い出されてしまうことも考えられました。
「配偶者居住権」は配偶者がそのまま自宅に住み続けられる権利を認める制度です。
この権利を配偶者への遺贈という形で遺言書に定めておけば、配偶者は安心して自宅に住み続けることができます。
遺産分割協議書で配偶者はこの権利を獲得することができますが、この権利が設定されると配偶者が存命の間は自宅を処分するのが難しくなるなるため、自宅の相続人はこの権利の設定を嫌うかもしれません。遺言書に定めて置けば、配偶者は円滑にこの権利を取得でき、安心して暮らせるでしょう。
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